「そっか。高月君」
その唇から自分の名前が発せられただけで、どうしようもなく幸福感を感じてしまう。
だが、确かめねばならない。
肯定してほしいのか、否定してほしいのか、それすらもわからないままに。
僕は质问を口にする。
「その、姫月先辈が………《月下美人》………なんですか?」
唇が渇き、喉がひりひりする。
呼吸すらも忘れて、先辈の答えを待つ。
先辈はなんとも言えない表情のまま、窓の傍を离れ、僕のすぐ近くにまでやってくる。
手を伸ばせば届きそうな位置に、恋焦がれる相手がいる。
紧张と兴奋で、头がどうにかなりそうだった。
「ふふ?」
そんな僕の様子がおかしかったのか、先辈は微かに笑みを零し、
「そう。私が《月下美人》だよ?」
楽しそうな声音で肯定した。
「そ、そう、なんですね………」
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頬が引きつるのを感じながら、ぎこちなく声を発する。
「それで―――」
先辈がかすかに目を伏せる。
长いまつげが悩ましい。
と、思ったら上目遣いに见上げられる。
あざとい仕草だとわかってはいても、抗う事も出来ずに可爱いと思ってしまう。
「高月君は………どうして欲しいのかな?」
―――《月下美人》は、エッチなお愿いを何でも叶えてくれる。
そんなくだらない男子生徒の妄想だとしか思っていなかった状况に突然、何の心の準备もないままに放り込まれて、僕はもう、正気を失っていたのだろう。
「す、好きです!」
「ほえ?」
突然の告白に、先辈も目を丸くする。
「入学した日から、ずっと!ずっと、好きでしたっ!ぼ、僕とっ、付き合ってもらえませんか!」
どもりながら、势いに任せて告白する。
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惊いていた先辈は、やがて穏やかな微笑みを浮かべる。
「ありがと。でも、いいの?私は《月下美人》だよ?…高月君が好きになってくれた私は、本当の私ではないんだよ?それでも―――」
「それでも好きです!」
先辈の言叶を遮るように、大きな声を出す。
「确かにびっくりしましたっ、で、でも、僕、やっぱり、先辈の事が好きなんですっ。こんなに谁かを好きになったのは先辈が初めてで、きっとこれから先もありません。だから―――」
「そっか」
ちょっとだけ困ったような、嬉しいような複雑な阴影の微笑を浮かべて颔いた先辈が、そっと両手で僕の頬に触れる。
柔らかくてすべすべで、ちょっとひんやりとした手。
そして、先辈の顔が近づいてきて―――。
僕の唇と静かに重ねられる。
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